団体信用生命保険(略して「団信(だんしん)」)とは?

住宅ローンの債務(借金)を完済する前に契約者が亡くなった場合、その住宅ローンの債務は法定相続人に引き継がれます。

ただし、亡くなった方が住宅ローンを組んだ際に、団体信用生命保険(団信)に加入していれば、その保険金から残りのローン全額が支払われ、法定相続人が債務を負担する必要はなくなります。

住宅ローンは何千万円単位になることが一般的であり、返済期間も長くなるため、契約者が亡くなる場合に備えて、住宅ローンを組む場合には団信に加入することが、ほぼ必須となっています。

団体信用生命保険は自ら「請求」を行う必要があります

団体信用生命保険の契約者が住宅ローン完済前に亡くなった場合、ローンを組んでいた金融機関に対して保険金が支払われ、残りのローンは完済扱いになります

とは言え、何の手続きをせずに自動的に保険金が支払われるわけではありません。

ローンを組んでいた金融機関や、団体信用生命保険を契約していた保険会社が、契約者の死亡を知らないかぎり、月々の住宅ローンは口座から引き落とされてしまいます。

したがって、団体信用生命保険の契約者が死亡した際には、ご遺族(法定相続人など)が自ら金融機関に団体信用生命保険の支払いの請求のための書類を提出するとともに、担保になっていた故人名義の不動産について、新しい所有者への所有権移転登記と、(住宅ローンが完済されたため)抵当権の抹消手続きを行う必要があります。

団体信用生命保険の請求手続きの流れ

ステップ1 住宅ローンの契約者が死亡した旨、金融機関に連絡する

まず最初に、住宅ローンを組んだ金融機関に、住宅ローンの契約者が死亡した旨を連絡しましょう。電話でも、店舗に出向いてもOKです。

ステップ2 金融機関に団体信用生命保険の請求書類を提出する

金融機関から請求手続きに必要な書類を受け取り、必要事項を記載して、付属する書類(金融機関ににより異なります)も添付して、提出します。

ステップ3 保険会社による審査→完済となる(金融機関から関係書類を受領)

金融機関に請求書類を提出すると、保険会社による審査になります。

審査の期間は1~2か月かかるのが一般的です。

審査が下りると保険金が支払われますが、保険金は請求者(相続人など)に支払われるのでなく、ローンを組んでいた金融機関に対して直接支払われます。

金融機関が完済を確認すると、完済を証明する書類一式を発行してもらえます。

ステップ4 不動産の相続登記(所有権移転登記)と抵当権抹消登記手続きを行う

完済が確認されたらそれで手続きが終了ではありません。

住宅ローンが完済されても、法務局の不動産登記簿に登記されている抵当権(住宅ローンはご自宅不動産を担保にしていることがほとんどです)の記録は、自動的に抹消されるわけではありません。

抹消するためには、その不動産を相続した相続人自らが、抵当権抹消登記を行う必要があります。

抵当権抹消登記には、金融機関から受け取った完済を証明する書類一式が必要です。

と同時に、相続登記(故人→新しく所有者となる方への所有権移転登記)も行いましょう。相続登記と抵当権抹消登記は同時に行う方が効率的だからです。

抵当権抹消登記は、そのまま放置しておいて罰則はありませんので、住宅ローンは完済済みなのに、抵当権の記録が登記簿上に残ったままというケースはよくあります。

しかし、抵当権の記録が残ったままでは、今後、不動産を売却したり、新しい所有者となった方が別のローンを組むために担保を設定したりすることができません。

抵当権抹消登記は、相続登記と同時に、忘れずに済ませておきましょう。

団体信用生命保険の請求手続きには期限があります

生命保険金は、法律の定めにより、相続開始から3年を経過すると時効によって請求できなくなります。

団体信用生命保険も生命保険の一種であるため、この法律の適用を受けます。したがって、契約者の死亡から3年を経過した場合は、請求しても保険金が支払われない可能性があります。

なるべく速やかに請求手続きを行うようにしましょう。

当センターでは、団体信用生命保険の請求手続き代行サービスを行っています。

詳しくは団体信用生命保険(住宅ローンの残債の完済)の請求手続き代行サービスの内容と料金をご覧ください。

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