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法定相続情報証明制度とは?
「法定相続情報証明制度」という、2017年から始まった新しい制度をご存知でしょうか?
この制度は、一言で言えば「相続手続きを早く・ラクに終わらせることができる制度」です。
亡くなった方の出生までの戸籍の取得のページでも説明しているように、相続手続きでは、まず最初に「亡くなった方の出生までの戸籍の取得」という困難な作業が必要になります。
そして、集めた「戸籍の束(たば)」自体を、不動産の手続き(法務局)、預貯金の解約・払戻しをする手続き(各金融機関)、株式や有価証券の名義変更などの手続き(証券会社など)、年金の手続き(年金事務所)、自動車の相続手続き(陸運局など)、相続税の手続き(税務署)などに提出する必要があります。
「戸籍の束(たば)」は、通常1つしかありませんから、上記のようなそれぞれの相続手続きを、複数同時進行で進めることが困難でした。
その結果、相続手続きにかかる期間が長期化してしまいがちでした。
また、1つ1つの相続手続き、とくに金融機関における預貯金の解約・払戻しの手続きでは、(相続の専門家ではない)各金融機関の窓口の職員が、「戸籍の束(たば)」を読み解いて、すべての戸籍が揃っているか確認するのに、かなりの待ち時間を覚悟しなければなりませんでした(戸籍の数が多い場合には、2~3時間待ちなどは普通です)。
そこで、このような「戸籍の束(たば)」による相続手続きの時間・労力を省くために始まったのが、「法定相続情報証明制度」です。
法定相続情報証明制度の利用で、なぜ相続手続きが早く・ラクになるのか?
「法定相続情報証明制度」を利用すれば、各相続手続きで提出する「戸籍の束(たば)」が不要になり、その代わりに「法定相続情報一覧図の写し」という1枚の紙で済むせることができます。
具体的には、集めた「戸籍の束(たば)」を法務局に提出し、「戸籍がすべて正しく揃っていること」や「法定相続人が誰なのか」を証明してもらいます。その証明として法務局から 「法定相続情報一覧図の写し」を交付してもらいます。
「法定相続情報一覧図の写し」は、必要な手続きの数だけ、何通でも無料で交付してもらうことができます。
そして、各相続手続きにおいて、「法定相続情報一覧図の写し」を提出することにより、「戸籍の束(たば)」を提出する必要がなくなります。
それにより、複数の相続手続き(不動産、預貯金のある金融機関各行、自動車の手続き、年金の手続きなど)を同時並行で進めることができ、相続手続きにかかる期間を短くすることができます。
また、「法定相続情報一覧図の写し」を見れば一目瞭然で相続関係がわかるので(職員が「戸籍の束(たば)」を解読する必要がないため)、各手続きにおける窓口での待ち時間も大幅に短縮することができます。
法定相続情報証明制度 ご利用までの流れ
法定相続情報証明制度を利用するには、大きく3つのステップがあります。
ステップ1 必要書類の収集
- 被相続人(亡くなられた方)の戸籍謄本(出生~死亡時までのもの)
- 被相続人の住民票の除票、または、戸籍の附票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 申出人(相続人の中の代表者)の身分証明書(運転免許証など)
- 委任状(行政書士などの代理人が申し出を行う場合)
※ケースにより他の書類が必要な場合があります。上記は、すべての方に共通する必要書類です。
ステップ2 法定相続情報一覧図の作成
法定相続情報一覧図とは、亡くなった人と相続人の関係を一覧できる図のことです。
法定相続情報一覧図をご自身で作成します(行政書士が申し出の代理人になる場合は、行政書士が作成)。
記載しなければならない事項が法律で決まっており、その通りに作成する必要があります。
ステップ3 法務局に申し出
必要書類が集まり、法定相続情報一覧図の作成ができたら、法務局へ法定相続情報証明制度の利用の申し出を行います。
所定の申出書に必要事項を記入し、必要書類と法定相続情報一覧図を提出します。法務局に直接持参するか、または、郵送でも申し出が可能です。
(行政書士が申し出の代理人になる場合は、行政書士が行います)
法務局は、全国どこの法務局でもよいわけではなく、被相続人の本籍地や最後の住所地、申出人(相続人)の住所地を管轄する法務局などになります。
※当サイトをご覧の方は、札幌市内の法務局本局や出張所である場合が多いでしょう。
「法定相続情報証明制度」の利用の申し出を行政書士が代行します
財産の種類が多く、相続手続きを早く・ラクに終わらせたい方は、「法定相続情報証明制度」の利用をご検討ください。
「法定相続情報証明制度」の利用の申し出は、当センターの行政書士がお客様に代行して行うことができます。詳しくは、法定相続情報証明制度の手続き代行サービスをご覧ください。
なお、「法定相続情報証明制度」があるからといって、従来の「戸籍の束(たば)」よる手続きができなくなったわけではありません。
財産の種類が少ない場合(例 不動産がなく、預貯金も1~2行しかない場合など)には、わざわざ「法定相続情報証明制度」を利用しなくてもよいでしょう。
ただし、いずれにしても「亡くなった方の出生までの戸籍の取得」を取得する手続き自体は、どんな方にとっても必要です。
よろしければ戸籍取得代行サービスと一緒にご検討ください。
(一部の作業が重なるため、法定相続情報証明制度の手続き代行サービスが割引きになります)
法定相続情報証明制度のメリットとデメリットのまとめ
メリット
- スピーディーに相続手続きを進められる(複数同時並行に手続きが進められる)
- 各窓口での待ち時間が短くなる(1つの手続きに半日かかる、というようなことがなくなる)
- 費用が無料(「法定相続情報一覧図の写し」は何通でも無料です)
デメリット
- 「戸籍の束(たば)」は、いずれにせよ必要である(どんな相続手続きでも最初に行う必要があります)
- 法務局での申し出の手続きが必要である
- 法定相続情報一覧図を作成しなければならない(法務局の人が作ってくれるわけではない)
- すべての相続手続きで使えるわけではない(新しい制度のため、一部未対応の役所・金融機関などがある)
ご利用を検討している方は法定相続情報証明制度の手続き代行サービスをご覧ください。