亡くなった方(被相続人)が残す遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言の2種類の方式があります。
(秘密証書遺言という方式もありますが、実際にはほとんど利用されないのでここでは省略します))

ここでは、被相続人が、自筆証書遺言を残していた場合の検認手続きについてご説明します。

自筆証書遺言とは何か、自筆証書遺言のメリット・デメリットなどについては、自筆証書遺言がある場合の相続手続きをご覧ください。

自筆証書遺言の検認(けんにん)とは?

遺言者が自筆証書遺言を残していた場合、まず最初に行わなければならないのが、家庭裁判所による検認という手続きです。

検認とは、家庭裁判所がその遺言の形式・内容などを確認することにより、それ以後の偽造・変造を防ぐ目的で行われる、証拠保全の手続きです。

したがって、封がしてある自筆証書遺言が見つかったら、開封してはいけません。

遺言書の開封は、家庭裁判所で行う検認手続きの上で行うことになっているからです。

封がしてある自筆証書遺言を家庭裁判所外で開封すると、5万円以下の過料が課される可能性があります。

また、遺言を偽造・変造したのではないかと、他の相続人などにあらぬ疑いをかけられるなど、トラブルの原因になることもありますので注意してください。

※2020年から施行された遺言書保管法により法務局に保管されている自筆証書遺言は、検認の必要がなく、スピーディに相続手続きを進められます。

検認には2~3ヶ月くらいの時間がかかる

検認には、手続きに必要な書類を集めたり、家庭裁判所に検認を申し立てて期日の指定を受け、実際に検認が完了するまで少なくとも2~3ヶ月くらいの時間がかかります。

検認が完了するまでは、遺言の内容や効力が確定しないため、実質的に相続手続きを進めることができません。

ですので、自筆証書遺言がある場合には、遺言を発見したご遺族が申立人となって、速やかに検認手続きを行う必要があります。
(※検認に必要な書類の取得などは、当センターが代行できます。詳しくは、遺言の検認手続きサポートをご覧ください)

検認手続きが完了すると、家庭裁判所で検認済証明書を発行してもらうことができます。

この証明書と自筆証書遺言をともに提出することで、法務局や金融機関などに対して遺言書を検認をしたことを証明して、実際の遺言の執行(遺言の指示通りに遺産を分けること)を行っていきます。

自筆証書遺言の検認手続きが終わったら、まず遺言執行者の指定があるか確認を

自筆証書遺言の検認手続きが終わったら、全文を読み、遺言執行者の指定があるか確認しましょう。

遺言執行者は、文字通り「遺言の執行(遺言の指定通りに遺産を分配すること)」を行うためのすべての権限を、法律の決まりによって与えられています。

したがって、遺言執行者の指定の有無により、今後の相続手続きを誰が主導して行っていくのか、大きく変わります。

遺言執行者の指定が無い場合は、法定相続人のうち1名または数名が相続人代表者となって、遺言に従って相続手続きを先導していくことになるでしょう。

具体的には、相続による名義変更が必要な各相続財産に応じて、戸籍の束(被相続人の出生までの戸籍)や自筆証書遺言の原本と検認済証明書をはじめとする提出書類をそろえた上で、法務局、各金融機関などに提出します。

遺言執行者の仕事は煩雑 「代理人」に任せることができる

遺言執行者は、遺言の執行の責任者として、以下の作業を行います。

  • 法定相続人の範囲の確定(被相続人の戸籍を出生まで辿る)
  • すべての法定相続人に遺言執行者の就任を通知
  • 相続財産の調査・財産リストの作成
  • 各相続財産の名義変更などの手続き(不動産の名義変更、預貯金の解約・払戻し、その他財産を新しい所有者に引き継ぐ手続き)
  • すべての法定相続人に業務の完了報告

もし、ご遺族が遺言執行者に指定されている場合で、上記のような作業を行うのが難しい場合(高齢である、病気である、難しい手続きは苦手である、多忙のため手続きを行う時間が無い、など)、当センターのような相続手続きの専門家を、遺言執行者の「代理人」とすることができます。

代理人であっても、遺言執行者本人と同じ権限が与えられていますので、遺言の執行にはまったく支障がありません。

まとめ 自筆証書遺言の検認~遺言の執行は専門家にご相談を

自筆証書遺言は、気軽に作成できる反面、トラブルになりやすい、検認が必要であるなど、デメリットもあります。

トラブルが起こらないように、作成する場合は、行政書士などの専門家のサポートを活用してください。

当センターの姉妹サイトでは、自筆証書遺言作成サポートサービスを行っています。

また、遺言の内容を現実に執行していく手続きに関しては、公正証書遺言の場合と同じく、困難な手続きが伴います。

遺言執行者としての業務が、高齢・病気・多忙などの理由で困難な場合は、当センターの行政書士が遺言執行者の代理人となり、ほぼすべての相続手続きを丸ごとお任せいただくことができます。

詳しくはこちらをご覧ください。

 

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